コラム
3|働く場所・スタイル
第5章:多様な働き方でキャリアを切り拓くビジネススキル
コラム第17回:変化に対応するための学び直し(リスキリング)の重要性
第5章「多様な働き方でキャリアを切り拓くビジネススキル」も、いよいよ今回が最終回です。これまでは、プレゼン能力やネットワーキング、セルフマネジメントといった、変化の時代に求められる具体的なビジネススキルについてお話ししてきました。
そして、これらのスキルを習得・向上させ、さらには未知の領域に踏み込んでいくために不可欠なのが、「学び直し」、近年よく耳にするようになった「リスキリング(Reskilling)」です。
テクノロジーの進化は加速し、ビジネス環境は目まぐるしく変化しています。AIの台頭により、これまで人間が行ってきた業務が自動化される可能性も指摘されており、私たちは常に新しいスキルや知識をアップデートし続けなければ、自身の市場価値を維持し、変化に対応していくことが難しくなっています。
今回は、なぜ今これほどまでに学び直し(リスキリング)が重要視されているのか、その背景と、具体的な取り組み方について深掘りしていきます。
なぜ今、学び直し(リスキリング)が重要なのか?
「一度身につけたスキルで一生働き続けられる」かつてはそうした時代もあったかもしれません。
しかし、現代は変化のスピードがあまりにも速く、その常識は通用しなくなっています。
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テクノロジーの進化がもたらす変化
AI、データサイエンス、クラウドコンピューティング、プログラミング、デジタルマーケティングなど、新しい技術や概念が次々と生まれ、あらゆる業界・職種に影響を与えています。
これらのテクノロジーを理解し活用できるスキルがなければ、業務を効率的に進めることも新しい価値を創造することも難しくなります。
過去の経験や知識だけでは立ち行かなくなる可能性があります。
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ビジネス環境の複雑化と変化
グローバル化の進展、多様な価値観への対応、サステナビリティへの取り組み、そして予期せぬ社会情勢の変化(パンデミックなど)。ビジネスパーソンは、単一の専門性だけでなく、幅広い視野や新しい課題に対応するための知識・スキルを身につける必要があります。
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キャリアの長期化
人生100年時代と言われるようになり、働く期間も長期化しています。
一つの会社や職種に定年まで留まるというモデルは少数派になりつつあり、複数回のキャリアチェンジや、定年後も働き続けることを視野に入れる必要があります。そのためには、常に新しいスキルを習得し、時代の変化に合わせて自身の働き方やキャリアを柔軟に変えていける準備が必要です。
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多様な働き方の普及
リモートワークや副業、フリーランスといった多様な働き方を実現するためにも、特定の専門スキルだけでなく、デジタルツールを使いこなす能力や、自律的に働くためのセルフマネジメント能力(コラム第16回参照)といったスキルが不可欠です。
これらの変化に対応し、自身のキャリアを主体的にコントロールしていくためには、現状のスキルに満足せず意識的に新しいことを学び続ける姿勢、すなわち「学び直し(リスキリング)」が極めて重要なのです。
リスキリングとは?
リスキリングとは、端的に言えば「新しい職務やキャリアに対応するために必要なスキルや知識を学び直すこと」です。
単に既存のスキルを深める「スキルアップ」とは異なり、リスキリングは、現在持っているスキルとは異なる全く新しい分野のスキルを習得したり、将来必要になると予測されるスキルを先んじて学んだりすることを含みます。
これは、個人の市場価値を高め、変化の激しい時代でも活躍し続けるための戦略的な取り組みと言えるでしょう。
学び直しを実践するためのステップ/考え方
学び直しを始めるにあたって、どのようなステップで進めれば良いのでしょうか。
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自身の現状スキルを棚卸しする
自分が現在どのようなスキルや経験を持っているのか、客観的に整理してみましょう。
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将来のキャリア目標や市場ニーズを把握する
自分が今後どのような働き方をしたいのか、どのような分野で活躍したいのかといったキャリア目標を考えます。
同時に、興味のある分野や業界で現在どのようなスキルが求められているのか、将来的に需要が高まりそうなスキルは何か、といった市場のニーズを情報収集します。
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目標達成に必要なスキルとのギャップを特定する
自身の現状スキルと、目標達成や市場ニーズに対応するために必要なスキルとの間に、どのようなギャップがあるのかを明確にします。
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学ぶべきスキルを具体的に設定する
特定したギャップを埋めるために、具体的にどのようなスキルや知識を学ぶ必要があるのかを設定します。
漠然と「〇〇について学ぶ」ではなく、「〇〇ツールを使いこなせるようになる」「〇〇の資格を取得する」といった具体的な目標に落とし込みましょう。
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学習計画を立て、実行する
設定した目標に向けて、どのような方法でどのくらいの時間をかけて学ぶのか、具体的な学習計画を立て実行します。
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学んだことを実践に繋げる
学んだ知識やスキルは、実際に使ってみてこそ定着します。
業務で試したり、副業で実践したり、個人的なプロジェクトで活用したりと、積極的に実践の機会を作りましょう。
学び直しの多様な機会
学び直しの機会は、以前に比べて格段に増えています。
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オンライン学習プラットフォーム
Coursera, Udemy, Udacity, Progate, ドットインストールなど、プログラミング、データサイエンス、ビジネス、デザインなど、多様な分野の高品質な講座を、自分のペースで、手軽に受講できます。
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書籍や専門メディア
基礎知識の習得や、最新情報のキャッチアップに役立ちます。
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社内研修
多くの企業が、従業員のスキルアップやリスキリングのために様々な研修プログラムを提供しています。積極的に活用しましょう。
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外部セミナー・ワークショップ
特定のテーマについて深く学んだり、専門家や他の参加者と交流したりする機会となります。
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実務を通じた学習(OJT)
新しい業務に挑戦したり、異動や兼務で新しい分野に関わったりしながら、実践の中でスキルを身につけることも重要な学びの機会です。
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専門分野のコミュニティ
同じ分野に関心を持つ人々と交流することで、情報交換ができるだけでなく、他のメンバーから刺激や学びを得られます。
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学びの環境を整える
オンライン講座を受講したりグループで学習したりする際に、集中できる環境を選ぶことも、学びの効果を高めることに繋がります。
自宅では集中が難しい場合や、グループで集まって学習したい場合は、静かで設備が整ったレンタルスペースなどを活用するのも有効な選択肢です。
まとめ:学び続ける姿勢こそが変化を乗りこなす最大の武器
変化の激しい現代において、学び直し(リスキリング)は、もはや特別なことではなく、ビジネスパーソンがキャリアを継続し発展させていく上で不可欠な「標準スキル」と言えるでしょう。
自身の市場価値を高め、変化に対応し、多様な働き方を力に変えていくためには、現状に満足せず、常に新しいスキルや知識を学び続ける姿勢こそが最大の武器となります。
今回ご紹介したステップや機会を参考に、ぜひあなた自身の学び直しをスタートさせてみてください。
学び続ける旅はきっとあなたのキャリアの可能性を大きく広げてくれるはずです。
集中して学ぶ環境が必要ならば、ぜひSMG貸し会議室のような場所をご活用ください。
第5章は今回で終了となります。
次回の第6章からは、「働き方の未来とレンタルスペースの可能性」をテーマに、将来予測される働き方のトレンドや、レンタルスペースがどのようにそれをサポートできるのかをまとめていきます。