コラム
3|働く場所・スタイル
第3章.集中力と生産性を引き出す働く場所の選び方
コラム第8回:オフィス、自宅、カフェ、コワーキング、レンタルスペース - 目的に合わせた最適な場所選び
前回のコラムでは「環境」が私たちの仕事のパフォーマンスにいかに大きな影響を与えるかをお話ししました。騒音、照明、空間の雰囲気、設備といった様々な要因が、集中力、創造性、そして気分まで左右します。
そして、多様な働き方が広まった今、私たちはオフィスだけでなく、自宅、カフェ、コワーキングスペース、そしてレンタルスペースなど、多種多様な場所から「今日の働く場」を選ぶことができるようになりました。しかし、選択肢が増えた分「どこで働くのがベストなのか?」と迷うことも増えたのではないでしょうか。
それぞれの場所には異なる特徴があり、向き・不向きがあります。
大切なのは、その日のタスク内容やチームの目的、そして自身が求める環境に合わせて最適な場所を賢く選ぶことです。
今回は、代表的な5つの「働く場」に焦点を当て、それぞれの特徴と仕事の目的に合わせた最適な場所選びのヒントを網羅的にご紹介します。
代表的な「働く場」とその特徴
様々な場所で働くことが一般的になった今、それぞれの場所の特性を理解し使い分けることが重要です。
1. オフィス
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特徴
会社が契約・所有する、仕事のために整備された専用空間。デスク、会議室、休憩スペースなどがある。
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メリット
チームメンバーとの対面コミュニケーションが容易、会社の設備(会議室、複合機など)が利用可能、企業文化を共有しやすい、情報セキュリティが高い。
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デメリット
通勤が必要、オープンスペースでは周囲の話し声や視線が気になる場合がある、個人の集中スペースが限られることがある。
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最適な目的
チームでのブレインストーミングや共同作業、対面での重要な会議、社内イベント、新入社員研修など、リアルな交流や社内リソース活用が重要な場面。
2. 自宅
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特徴
プライベートな空間で働くスタイル。
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メリット
通勤不要、リラックスできる環境で作業可能、コストがかからない(基本的に)、自分の好きなように環境を整えられる。
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デメリット
仕事とプライベートの区別がつきにくい、家族などによる中断の可能性、誘惑が多く自己管理が必要、必要な設備が不足しがち(特に複数モニターやプリンターなど)、孤独感を感じやすい、セキュリティリスク管理が必要。
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最適な目的
資料作成やメール対応など、一人で集中して進めたい個人作業。安定した通信環境があればオンライン会議への参加。
3. カフェ
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特徴
ドリンクなどを購入すれば利用できる、手軽な作業スペース。適度なBGMや人の声がある場所も多い。
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メリット
手軽に利用でき気分転換になる、適度な賑やかさが集中を助けることもある(ホワイトノイズ効果)、移動のついでに立ち寄りやすい。
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デメリット
騒がしくて集中できないこともある、プライバシーがないため機密性の高い作業には不向き、電源やWi-Fiが不安定な場合がある、長時間の利用は気を使う、情報漏洩や盗難のリスク。
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最適な目的
メールチェックや情報収集など、軽作業や短時間での作業、気分転換をしたい時。機密性の高くない作業に限る。
4. コワーキングスペース (Coworking Space)
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特徴
フリーランス、スタートアップ、リモートワーカーなどが集まり、共有のワークスペースや設備(Wi-Fi、電源、プリンター、会議室など)を利用する場所。多くの場合、月額制やドロップイン(一時利用)が可能。
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メリット
初期投資なしで利用できる、他の利用者との交流によるネットワーキングや刺激、多様な働き方の人が集まるコミュニティ、仕事に必要な基本的な設備が揃っている、自宅以外の作業場所として手軽に利用できる。
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デメリット
オープンエリアは周囲の話し声など騒がしい場合がある、プライバシーが確保しにくい(特に電話やオンライン会議)、時間帯によっては席が確保できない場合がある、情報漏洩リスクに注意が必要。
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最適な目的
固定のオフィスを持たない個人やチームの日常的なワークスペース、自宅では集中しにくい場合の作業場所、他の分野の人との交流を求める場合、手軽に利用できる作業場所。
5. レンタルスペース(会議室・研修室など多様な空間)
目的に合わせた最適な環境:少人数での集中会議から大人数でのセミナー、チームビルディングまで、必要な広さ、レイアウト、設備(プロジェクター、スクリーン、ホワイトボード、高速Wi-Fi、音響設備、マイク、カメラなど)を選択できる。
高い集中力とプライバシー:他の利用者に邪魔されず、集中して議論や作業に取り組める環境が整っている。機密性の高い内容の話し合いにも最適で、情報漏洩のリスクを抑えられる。
プロフェッショナルな雰囲気:クライアントとの重要な打ち合わせ、採用面接、社外向けセミナーなど、会社の信頼性を印象づけたい場面に最適な清潔で整った空間を利用できる。
ハイブリッド会議への対応:ハイブリッド会議に必要な機材(高性能カメラ、マイク、モニターなど)が備わっているレンタルスペースを選べば、オフィスにいるメンバーとリモートメンバーがスムーズに連携できる円滑な会議を実現できる。
多様な利用目的への対応:会議だけでなく、研修、セミナー、ワークショップ、Web会議の発信基地、集中して一人で作業したい時の書斎代わり、チームでの懇親会、展示会など、幅広いビジネスシーンに活用できる。
柔軟な利用とコスト効率:必要な時に必要な時間だけ借りられるため、固定費を抑えつつ、必要な時に最適な環境を確保できる。
目的別!最適な働く場所の選び方ヒント
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集中して個人作業
自宅、カフェ、コワーキングスペース(個室ブースなど)、静かで個室に近いレンタルスペース。
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オンライン会議(自分のみ参加)
自宅(静かな環境)、コワーキングスペース(個室ブース)、レンタルスペース(個室)。周囲を気にせず話せる環境が重要。
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チームでの打ち合わせ・会議(対面またはハイブリッド)
オフィス内の会議室が基本。人数が多かったり、外部参加者がいたり、設備の充実やプライバシーが必要な場合はレンタル会議室が最適。ハイブリッド会議の機材が整っているかも確認ポイント。
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大人数での研修・セミナー
自社に適切なスペースがない場合は、参加人数や必要な設備(プロジェクター、マイクなど)に合わせて選べるレンタルスペースが最適。
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クライアントとの重要な打ち合わせ・面接
会社の信頼性を印象づけられる、アクセスが良くプロフェッショナルな雰囲気の場所。自社オフィスだけでなく、設備の整ったレンタル会議室も有力な選択肢。
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チームビルディング・懇親会
リラックスできる空間や、飲食可能なスペースが必要。オフィス内の共有スペースや、飲食持ち込みが可能なレンタルスペースも選択肢。
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ネットワーキング・偶発的な交流
コワーキングスペースの共用エリア、オフィス。
まとめ:賢く「働く場」を選び可能性を広げよう
オフィス、自宅、カフェ、コワーキングスペース、そしてレンタルスペース。
それぞれにメリットとデメリットがあり、向き・不向きがあります。
重要なのは、これらの場所の特性を理解し、その日のあなたの仕事の目的や一緒に働くチームのニーズに合わせて最適な「働く場」を賢く選ぶことです。
適切に場所を選ぶことで集中力や生産性が高まり、より快適に、より高い成果を目指して働くことができるようになります。
特に、会議や研修、大人数での集まり、重要な外部とのやり取りなど、高い集中力、プライバシーそして充実した設備が求められる場面においては、レンタルスペースが非常に有効な選択肢となります。
多様な働き方を支える「働く場」の選択肢が増えた今、自分にとって最適な場所を見つける旅を楽しんでみてください。
次回のコラムでは、働く環境の中でも特に「集中力」を高めるための環境づくりについて、さらに深掘りしていきます。